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このページでは、ワーキングメモリーと関係のあるADHD (注意欠陥・多動性障害) という発達障害について説明したいと思います。
ADHDは、遺伝的な脳機能障害によって注意力を維持するのが苦手 (注意欠陥)、そわそわして大人しく話を聞いていられない (多動性)、よく衝動的に行動してしまう (衝動性) などの特徴をもつ発達障害のことを言います。
他者から見て最も分かりやすい衝動性は、大抵の場合大人になる過程で緩和されるため、近年までADHDは子供のみに見られる症状であると考えられてきました。
しかしながら、実際にはADHDそのものが完治したわけではなく、大人になっても注意欠陥や他の症状に悩まされている人が多いことが分かってきました。日本においては特に認知度が低く、自覚していない人を含めると成人の5%程度がADHDを発症しているという調査結果もあります。
ADHDの特徴
ADHDの傾向は人によって様々なんですが、一般に以下のような特徴を持つと言われています。
・注意、集中を維持することが苦手。すぐに気が散って、思考がいろいろなところに飛ぶ。会話中に別のことが気になって話を聞いていなかった、ということがある。
・刺激を求める傾向が強く、飽きやすい。ルーティンワークではしばしば集中が途切れ、別のことを考える。
・整理整頓が苦手。
・持続せず、なかなか物事を完結させることができない。
・先々に考えて計画や準備することが苦手。
・不安が先に立って、物事を先延ばしにしてしまう。
・場所や状況を考えずに、ぱっと頭に浮かんだことを口に出してしまうなど、衝動的な行動が目立つ。突発的に行動してしまうが、逆に行動力があるとも言える。
・気分が変わりやすい。怒りっぽいがよく笑う。
・短気でストレスに弱い。
・よく妄想している。しばしば突拍子もない妄想が延々と広がっていく。結果、独創性にあふれたアイデアを出すことが得意。
・しばしば過剰に集中する。嫌なことや不安が思考を支配し、結果、目の前の物事に集中していないということが起こる。一方、好きなことに凄まじい集中力を見せる。
・家族に同じような症状をもつ人がいる。
このような傾向の一つや二つは誰しも多少はあるかも知れませんが、ADHDの場合はこれらが幼少期から持続していて、程度と頻度が高いことが特徴です。そして、ADHD患者にはこうした症状によって社会生活に支障をきたし、二次的に鬱病などを発症してしまうケースも多々あるようです。
自分もひょっとしたらADHDかも……と気になった方は、以下の簡易診断でチェックしてみてもいいかも知れません。ただ、あくまでこれは簡易診断ですので素人判断は禁物です。
大人のADHD診断チェックリスト
ADHD 診断 セルフチェック
ワーキングメモリートレーニングのADHDへの効果
ADHDは病気ではなく先天性の脳機能障害です。抑制や自制に関する脳の神経回路が発達の段階で損なわれ、情報伝達物質が不足してることが原因と考えられています。不要な情報を排除する機能が低いために、嫌な考えが取れない、すぐ散らかしてしまう、仕事が完結しないなどという症状につながるのだそうです。
以前はリタリンという向精神薬がADHDの治療薬として使用されていましたが、規制強化によって処方されなくなりました。現在、日本在住の成人ADHDに関して言えば残念ながら有効な薬はありません。
では、ADHDを改善する方法はないのでしょうか?
確実に改善できる方法は確立されてはいませんが、幸いなことに一部改善が見られる方法がいくつかあります。
その一つが、当サイトのメインテーマでもあるワーキングメモリー・トレーニングです。ADHDとワーキングメモリーの障害には関係があり、ワーキングメモリーのトレーニングによってADHDの症状を改善することができたという研究結果があります。
人によって合う合わないということがあるでしょうし、効果が得られないかも知れません。しかし、試してみないことには何も分かりません。
ネットで方法を探してみるといろいろ出てきます。
中でもコグメドという会社のトレーニングプログラムは効果はありそうな気はしますね……でも結構なお値段が。
いきなりはちょっと払えないな〜という人は、ひとまず当サイトで紹介したトレーニングを試してみてはいかがでしょうか。
少し暗い話をしましたが、ワーキングメモリーを鍛えようとする過程で当サイトにいらした方の中には、私のような悩みを抱えている人がいるかもしれない。このサイトがそれを解決するきっかけになればと考えて記載しました。